KODAI SHIMIZU  
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H.A.I.R.

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髪の毛から作る新たな素材の提案。
留学中は自分で散髪をしていましたが、髪の毛は私たちの身体から離れた瞬間から “不要なもの” として認識されることに違和感を覚えました。
素材としての特性について調査をしたところ、「1本の髪の毛は100gの重さに耐えることが可能で、頭全体の髪の毛を合わせた場合は12トンもの重さを支えることができる*1」ことや、「重さの割に鋼鉄ほど強くはないが、アルミニウム、強化ガラス繊維、ケブラー(防弾チョッキに使用される素材)に似ている*1」こと、「引張強度は150-270MPaという高さである*2」ことがわかりました。
そこで、今までは活用されてこなかった髪の毛の強さを生かした素材をつくることにしました。

いくつかの実験の結果、髪の毛から作ったフェルトを蝋で固めることで、ある程度の強度が出ることがわかったため、この素材の作成方法をまとめたパンフレットを制作。このパンフレットには、髪の毛が手に入るヘアサロンの地図も載っているため、作りたい人は誰でもこのガイドに沿って新たな素材を作れるようにしました。
また、この新素材を使った製品の例としてスツールも制作し、実際に座れる程度の強度であることを示しました。

持続可能性が求められている昨今、私たちから出た廃棄物である髪の毛は、もしかしたら人間中心的になってしまった世界における理想の素材(Human-centered Age's Ideal Resource)なのかもしれません。

*1 Tim Radford, “Secrets of human hair unlocked at Natural History Museum in London” The Guardian, 2004, https://www.theguardian.com/uk/2004/may/27/sciencenews.research.

*2 Yang Yu, Wen Yang, Bin Wang, Marc André Meyers. “Structure and mechanical behavior of human hair” Materials Science and Engineering: C, vol.73, 2017, pp. 152-163, https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0928493116319208?via%3Dihub#s0005.